「邪魔!!そこ退いて!!」
大声でそう叫ぶと、一之瀬さんたちを含めクラス中の人たちが吃驚して目を見開きながらわたしを見てきた。
この学校での常識、弱者は強者に逆らわない。弱者は決して威張ってはいけないというルールに完全に背ききってるわたしを見て吃驚している。
「な…あなた、このわたしに…何を…」
信じられないという顔でワナワナと震える一之瀬さんを無視して、彼女たちの間に割って入り、なんとか教室から出られた。
後ろから一之瀬さんが倒れたーとかギャーギャー騒いでる声が聞こえてくるが、そんなことより今は指輪!
翔くんから貰った指輪を早く探し出さなければ!!
わたしは学校中のありとあらゆるとこを探した。
正門、裏門、玄関、裏口、中庭、校庭、体育館、文化棟、食堂、屋上等わたしが行きそうなところは全部見て回った。
なのに、指輪が入ったあの小さな箱はどこにも見当たらない。
ど、どうしようー…
鞄の中にもない、学校中どこにもない、じゃあいったいどこに…
なんか急に力が抜けてしまい、わたしはその場にヘナヘナと座り込んでしまった。
翔くんから貰った指輪が…なくなってしまった…

