指輪が…翔くんから貰った結婚指輪が…箱ごと消えた…
えっ、ちょっ!!えぇぇ!?
ど、どうして…?確かに鞄の中に入れたはずなのに…どうして?
てか、失くしたって翔くんに知られたら…
サーッ
体中の血が引いた気がした。
確実に怒られる…
と、とりあえず亀谷さんにはもう少し待ってくださいってメールを打とう。
携帯を取り出し、急いでメールを送り、わたしは指輪を探すべく、席から立ち上がると、目の前に一之瀬さんとその取り巻きの人たちが立っていた。
「あ、あの…」
退いてくれませんか?と言おうとしたら、その前に一之瀬さんが口を開き、それを遮った。
「あらっ?何か聞こえました」
「いえ、何も」
「空耳でなくて?」
そう言って、おほほと笑うお嬢様方。
あからさまにわたしという存在が目の前にいるのに、ワザといない存在のように扱っている。
だけど、そんなのどーでもいい。
今のわたしはこんな茶番に付き合ってる暇なんてないんだから。

