はぁ…結局持ってきてしまった…
昨日の夜、部屋の異様な空気に耐えられなくなったわたしは一目散にそこから逃げた。
自分の部屋に戻ると、何度も何度も箱を開けたり閉じたりソワソワしてしまい、指にはめようとしても、なんかすっごく緊張してしまい、あーだこーだと悩んでいるうちに朝になってしまっていた。
指輪をはめてないって知られたら翔くんになんて言われるんだろーとびくびくしながら食堂に行っても、翔くんはいなかった。
どうやら朝早くから仕事に行ったらしい。
高校卒業したからやっぱりこういう風に1人でご飯を食べるということが増えるのかとしゅんと落ち込みながら豪華なのに何故か味気がない朝ごはんを1人で食べた。
そして、結局わたしは指輪を指にはめることもなく、箱ごと学校に持ってきてしまいました。
なんで持ってきたのかはわからないけど…なんかすっごく恥ずかしい。
今、思ったら指輪だよ!?指輪!!
軽く考えてたけど、少女マンガだったら普通泣いて喜ぶのに、わたしの昨日の反応はいったいなんだ。
指輪を貰ったのに、ぜんっぜん可愛くない反応してしまった。
翔くん絶対にわたしのことかわいくねー女だと思ったよ。
今からでも『指輪嬉しかった、ありがとう』ってメールを送った方がいいのかな?
携帯を開きながら、そんなことをうーんと悩んでいた。

