ガチャッ
「そう…大人の男の積もる話をね…」
春はさっきとは違う雰囲気を漂わせながら、部屋の中からガチャリと鍵を閉めた。
それが合図だったのか、部屋の消灯が一瞬にして消えた。
「さぁ、始めようか」
で…結局、兄さんたちはいったい何しに来たのだろうか?
フォークに刺さった鶏肉のソテーを食べながら、わたしはふと思った。
あの後、兄さんたちは知らぬ間に帰っていた。
翔くんにいったい何の話をしてたのかと聞いても、全然教えてくれない。何度聞いても『お前には関係ないことだ』と軽くあしらわれてしまう。
ちょっとくらい教えてくれても良いのに…
10m先の翔くんをチラッと見て、わたしは鶏肉をもう一切れ食べた。
………
はっ!
別に仲間はずれにされたから寂しいとか思ってるわけじゃないのよ!!何、しゅんとしてるのよ、わたし!!
昔と同じじゃないくらい、わたしにだってわかるもん!!
兄さんたちは花菱のために毎日忙しいし、翔くんだってこれからは毎日仕事で…、……それにわたしだって別に昔みたいに翔くんが好きじゃないもん…

