かっ…
「翔くん!!」
慌てて近寄ると、翔くんは思ったより怪我もなく、抱きついてくる兄さんたちに普通に対応していた。
「卒業おめでっとさーん、翔くんー」
「しかも卒業テスト全部満点だって?さすが設楽の跡取り息子は違うね」
「ありがとうございます。てか、重いです」
抱きついてるというより乗っかっているって言った方が正しいのかな?翔くんの上に倒れこんでいる兄さんたちは翔くんの言葉でシュパッと立ち上がり、そしてなぜかまたわたしに抱きついてきた。
この人たちは誰かにひっついてなきゃ生きていけない病気にでもなってるのだろうか。会うたび会うたびに誰かの後ろに抱きついている記憶がある。
「で、今日はいったいなんですか?」
服の埃を叩き落しながら翔くんがそう聞くと、兄さんたちはまた一段と大きな笑みを顔に浮かべた。
「さっすが、翔くん」
「話がわかる男。カッコいい」
意味わからないことを呟きながら兄さんたちはわたしから放れ、翔くんの方へと向かった。
翔くんの卒業祝いのために来たんじゃないのかな…?
でも、それにしては祝い方が質素だよね。兄さんたちだったら盛大にバーンってやるし…
じゃあ何のために来たのかと首を傾げていると、春兄さんが振り返ってきた。
「これからは男のちょっと積もる話をするから、あとでめいいっぱい可愛がってあげるから、そんな寂しそうな顔しないでね」
そう言って、投げキッスを飛ばし、兄さんたちと翔くんは一つの部屋の中に入っていった。

