「・・・それがわたしが独身である最後の瞬間でした」
ポリポリとポッキーを悲しく齧るわたしに対し、さっきまで話を聞いていた聖美は目をキラキラさせていた
「結婚!いいなぁー、羨ましい!!16歳で結婚とか、美咲羨ましすぎ!!」
「あの、わたしのさっきの話聞いてた・・・?」
絶対に聞いてなかったろ、こいつ・・・
「何がそんなに不満なの?いいじゃん、初恋の翔くん?と結婚できたんだから」
「ごほっ」
聖美の言葉にわたしは思わずポッキーを喉に詰まらせた
「違うっていってるでしょう!!確かに初恋だったけど、今は嫌い、あんなやつ嫌いよ!!」
両手を組みながら未だに妄想気分の聖美はわたしの言葉が聞こえてなかったのか、視線があさっての方向を向いている
そう、確かにわたしの婚約者で幼なじみで今日から夫の設楽翔はわたしの初恋だった
幼いときから両親に決められた婚約者と結婚しなさいと言われてきたが、そんなの全然悲しくはなかったのだ