翔くんが笑顔でそう言うと、周りのお嬢様方がキャーと黄色い声を出した。
ふっ、みなさん騙されてるんですよ。翔くんはあんなに爽やかになんか笑いませんよ。なんてたって、親父ギャグで爆笑できる男だからね。
冷めた目で翔くんとその周りのお嬢様方の軍団を見てると、突然翔くんがこっちを向き、バチっと視線が合った。
ギクッ
わたしはすぐさま顔を逸らし、くるっと体を一回転させ、だーッと走り出した。
吃驚したぁ…、いきなりこっち見てくるんだもん。
今日は高等部の卒業式です。
翔くんが卒業してしまうということで一ヶ月前から翔くん狙いのお嬢様方が猛アタックし始めています。
しっかし、今日は一段とすごい人…
ここからじゃ、翔くん見えないや…
翔くんが卒業する。
学校であんな奴の姿見なくてすむと思えば清々する。
でも、きっと寂しくなると思う。翔くんがいなくなって活気が薄れた学校は…
…………

