それはとってもとっても大事なものでした。



初めて大好きなあの人から貰った特別のもの。



だけど、その大切なものは大好きなあの人への気持ちと共に捨てました。




さよなら、さよなら、さよなら




『ごめんなさい』














…綺麗だなぁ…




満開に咲き誇った校門前の桜の木々たちに思わずウットリと見惚れ、落ちてくる花びらを掴もうと手を上げた瞬間





「設楽様ぁぁぁぁ!!」




ドンッ




突然後ろから押され、転びそうになったが、なんとか踏ん張ってみせた。




わたしを押しのけたお嬢様方の目的はもちろん一つ。




「卒業おめでとうございます、設楽様。先ほどのスピーチ素晴らしかったです、わたくし感動して涙が出てきてしまいました」





「ありがとうございます。そう言ってもらえて光栄です」