「なるほど、こういうのが笑いか…」
「いやいや、おかしいよ!!翔くん!!」
真剣にそう言う翔くんに思わずつっこんでしまった。
「さっきの絶対にその取引先の人に言っちゃ駄目だよ。取引が破断しちゃう!!」
「何故?あんなに面白かったのに」
「だってさっきのは親父…じゃなくてとりあえず違うんだよ。その人が好きなお笑いとはちょっと違うんだよ」
親父ギャグ…じゃなくてダジャレであんな爆笑するなんてたぶん今の世の中翔くんだけだと思うし、もし取引のときに翔くんがそんなこと言ってしまったら、絶対にその場が凍りつくと思う。
「そうか…」
しゅんと肩を落とした翔くんを見て、わたしは何かがグサッと刺さった。
ど、どうしよう…全然翔くんの役に立ててないよ…
いっつも困ったことがあったら全部1人で解決しちゃう翔くんの背中を幼い頃から見てきたから、なんとか力を貸してあげたいと思ったのにーーー。
「翔くん!!」
力になりたい。
翔くんの背中を見ながら、わたしはいっつもそう思っていた。

