そうだ、こいつは仮にもあの設楽財閥の次期社長。かつて名家であった現在貯金0の花菱とは身分の違いがありすぎる
ここでわたしが逃げてしまったら、寝込んでいる父さんの治療費はおろか家族のこれからの生活が危うくなる
唇を噛み締めながらペンを持つわたしに兄さんたちはホッと安堵した
家族のため、家のため・・・
そう自分に言い聞かせながら、わたしは嫌々自分の名前を婚姻届にゆっくり書いていく
くっそ・・・くやしい・・・
なんでわたしがこんなやつと結婚だなんて・・・
瞳にいっぱいの涙を溜めながら書き終えると、瞬く間に婚姻届を取られた
「はい、翔くん」
「どうか、妹をよろしくね」
さっきとは裏腹にいつも通りの笑顔でそれを渡す兄さんたちとそれを受け取るあいつの姿を見てわたしはますますくやしくなってきた
くっそ、悠然としやがって・・・
ちょっとは嫌がれよ、この馬鹿が!!
明日から夫になるあいつにガンを飛ばしてやると、その視線に気付いたのかあいつはふいにこちらに顔を向けた

