ふっ…
翔くんがわたしのことが嫌いだってことは薄々感づいてたよ、昔から。
だってわたしがどんなに話しかけてもこっちを見てくれないし、絶対に優しい笑顔なんて見せてくれない。
12年前は優しかったのに…、いったい翔くんに何があったんだろうか…?
でも好都合だもん、わたしだってあんな奴嫌いだ。
2年前までのわたし、よくあんな奴を好きでいられたな。運命の相手なんて思ってたね、笑っちゃうよ。
食後のコーヒーを一気飲みして、わたしはお風呂へと向った。
あんな奴と結婚なんて最悪だと思っていたけど、花菱のみんなには悪いが設楽での生活は断然優雅だ。
こんな贅沢な生活をして絶対に祟られるなと思いながらも、わたしはスキップしながら大浴場へと向った。
何もかもビックスケールな設楽はもちろんお風呂も大きい。
浴槽で泳げるほどの大きさだ。
しかもそんな広さのお風呂を独り占めできる。
お風呂はわたしの一日のストレスを全て注ぎ落としてくれる神聖な場所なのだ。
もしお風呂がなかったら、今のわたしはいないだろうってほどお風呂には感謝している。

