…きっ、




狐!?




一之瀬さんの顔を思い浮かべてみる。




性格はまぁあれだが、顔はまぁまぁだったような。




鼻が高くて、目元もきりっと上がってて…




………




「ぶっ…」




思わず噴出してしまった。




確かに確かに狐だ!性格の悪さもプラスしたら、狐そのものになってしまう。





「政治家の娘だとなんとか機嫌を取ってるから、見るたびに噴出しそうになってこっちも苦労する」




「し、失礼だよ…翔くん…」




そういうわたしも笑いが止まらない。




だって、狐って…





「…笑いすぎじゃないか?」




「翔くんのせいでしょ!!」










その手は決してわたしを助けてくれなかった。



その場で泣いてしまったわたしは気付かなかったけれど、目の前にいた既にこの世界でどう生きていくかを知っていた小さな彼もきっと泣き出しそうになっていただろう。