父さんも薄々感づいていたのか、ウッとショックを受けたような呻き声を上げる
「酷いよ、美咲~。父さん、そのことすっごい気にしてるのに・・・。もし僕がもう少し真面目に仕事をしてたらこんなことにならなかったのかなって・・・」
少ししょんぼりとそう呟く父さんの『こんなこと』とはきっとわたしの結婚ではなく、花菱のこととかのことも含まれているに違いない
確かに事の原因を問い詰めてみると、全ては父さんが原因だ
でもわたしはそのことにほんの少しだけ、本当に少しだけ感謝している
何故ならもし父さんがちゃんと仕事をしていたのなら、わたしは花菱の駒として翔くんとは結婚出来なかったからだ
もしあのまま翔くんへの気持ちを封印したまま時が過ぎていったら、わたしはきっと一生後悔することになっていた
だから、わたしにとっての恋のキューピッドはこんな駄目駄目な父さんだった
それに結局は結果オーライで全てがいい着地点に着いたことだし、父さんを虐めるのはこのくらいにしておこう
「父さん、泣かないで。ほら、もうそろそろ扉開くよ」
「・・・うん。やっぱりまだ悲しいけど、父さんとしての最後のお仕事頑張る!!」
目元を真っ赤に腫れさせながらそんなこと言う父さんはなんだかおかしくて、それでもやっぱり少し頼もしかった

