壁に指で大量の『の』の字を書いているように見えたが、わたしの姿を見るなり、立ち上がり、ものすごくキラキラした瞳で近づいてきた
「みさきぃぃぃぃ!!さすが僕と久美子さんの娘!!超かわいいぃぃ!!」
反応がめっちゃ兄さんたちと似ているが、こちらが本来のベースです
父さん一人で、兄さん二人分のテンションの高さである
ちなみに久美子というのはわたしの母の名前です
ずっと可愛い可愛いと連呼していたが、そのうち何故だがどんどんとテンションが低くなり、終いにはさっきよりも酷いんじゃないかってくらいの落ち込みぶりだった
「あの・・・父さん?」
「これが巧くんの息子のものになるってことが本当に心苦しい!!父さん悲しい!!美咲がこんな若くして僕の元から離れていくなんて!!」
うわーぉ、完全に兄たちと意見が一致していますね
でももうここまで来たら後戻りは出来ませんよ
式のスタッフの人にそろそろと呼ばれ、まだ気落ちしている父さんと腕を組む
そんな父さんにわたしは更なる追い打ちをかけるようにあることを言う
「元はと言えば、父さんが仮病なんか使ってちゃんと働かなかったのが、原因でしょう?」

