「ねぇ、兄さんたち」
「ん?何だい、妹よ」
「どうしたの?」
少し上半身を屈ませた兄さんたちの片頬ずつにわたしは軽くキスをする
「今まで、本当にありがとう。大好きよ、兄さん」
こんな時にしか絶対に言えない台詞を言うと、キスをされた頬を押さえて、信じられないという表情をした兄さんたちは見る見るうちに瞳にいっぱいの涙を溜め、わたしを再度抱きしめる
「やっぱりやだぁぁぁぁ!!僕たちの美咲があんな奴のお嫁さんになっちゃうなんてぇぇ!!」
「本当はずっと嫌だったんだ、でもでも美咲はあいつといるほうが幸せだって知ってるから、でやっぱり・・・」
「そうかい、そうかい」
子供のように泣きじゃくってるように見える兄さんたちの頭を撫で、きっと最後になる兄さんたちとのハグをわたしは堪能した
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式場の扉の前に着くと、既に翔くんは式場に入ったらしく、そこにはいじけた様子で壁にもたれかかっている父さんの姿が見えた

