「そうそう、巧って名前が出てきたから思い出したんだけど、そういや美咲の名付け親って確かあいつだったよね」
「あぁ~、確かにそんな記憶が・・・」
えっ!?
話が突然逸れたと思ったら、それはいったいどういうことですか、お母様?
母さんにそんな視線を向けると、昔を思い出してなのか、明後日の方向を向きながら、母さんは話し始めた
「美咲はさぁ、わたしたちの初めての女の子だったから、『美』っていう漢字をつけた名前がよかったんだけど、中々決まらなくてさ、本当に一週間ぐらいずーっと考えてたんだけど、やっぱり決まらなくて、で設楽夫婦に助けを求めたのよ」
「まぁ、そこでも結局は中々決まらず、2-3時間ぐらいあーでもないこーでもないって悩んでましたよね」
「そう!そしたら丁度その時、美咲を抱っこしていた巧が一言、急に思いたった『みさき』っていう名前を呟いたら、ついさっきまで大人しかった美咲がきゃっきゃと笑い出したの。あの時は本当に吃驚したわ」
ま、まさか自分の名前がそんな風につけられたとは思いもよらなかった・・・
「でも兄さんたちからは母さんが、どんな困難にぶつかってもまっすぐ咲きほこる野の花のような子になって欲しいっていう願いが込められてたった・・・」
「あぁ、あれは後付けよ。理由とかそういうのは後からどーとでも言えるわ。だけどあの時、美咲が本当にその名前で呼ばれて嬉しそうだったから、その名前にしたの。さっきも言ったけど、人間何かを好きになるのってのは直感よ。美咲はあの時、直感的に『みさき』って名前がいいって思ったのよ、きっと」
自分の名前の由来がまさか後付だったとは吃驚したが、そっか巧叔父さんがわたしにこの名前をくれたんだ
だからあの時、初めて会ったとき、わたしの名前を聞いたときに、反応が返ってきたんだ

