「や、やっぱり消さないでいいです…」
翔くんから携帯を奪い取ったわたしは絶対に真っ赤になってる顔を見せまいと、迅速に車の中に入った。
し、しかたないもんね。翔くんがどうしてもって言うんだから、これはわたしの意思で登録したものじゃないし…うん、いいよね。
翔くんの番号を眺めながら目をキラキラさせているわたしはどこからどう見ても恋する乙女だろう。
だけど、これは別にわたしから要求したわけではないし、それにキラキラさせてるのはこれからめいっぱい悪戯電話が出来るからワクワクしてるだけである。
決して翔くんの番号が手に入ったから喜んでいるわけではない!!
断じて!!
そんな言い訳を頭の中で訴えていると、いつのまにか車が動き出していた。
もちろん、翔くんも乗っている。なぜかわたしの隣ですっごい不機嫌そうな顔で外を見ている。
ふっ、あの時一之瀬さんに見せたあのキラキラした爽やかな笑顔はなんですか。
幻ですか、わたしの前では見せる価値がないと?
あぁー、そうですか。
「い、一之瀬さんとは仲がよろしいのですか?」
さりげなくそう聞くと、翔くんがピクッと反応した。

