たとえばつい先日も屋敷で翔くんの姿が見え、呼び止めようとすると、風の速さで走ってきた双子の兄たちがそのまま翔くんの背中へと二人同時に飛び蹴りをした




「いやぁー、思わぬところに飛び蹴りにいい練習台があってよかったね~」




「そうだねー。さぁ僕たちはこれから用事があるから急がなきゃ」




そして床に倒れた翔くんの腕を乱暴に引き、そのままどこかへと連れ去って行った




その光景を目の当たりにしたわたしは呆気に取られ、翔くんを呼び止めることも、兄さんたちに怒ることも出来なかった




もう翔くんに聞くのは諦めようと、同じくどこかよそよそしいひばりさんに尋ねると、こちらも同じように挙動不審になった




目をあっちこっちに泳がせていて、明らかに何かを隠している様子




あと少しのところで口を割りそうなところで、今度は夏兄さんに邪魔され、そのまま二人の世界に





いったい、なんなんだ・・・?






*
*




そして何もわからないまま一週間が過ぎ、突然翔くんに呼び出されたのは花菱の屋敷だった




どうしてこんなところへ呼び出されたのかと疑問に思うと、翔くんはある部屋の前まで案内してくれた





「美咲、扉を開けて」




「えっ?」




「いいから」




目の前にある扉を開けろと急かしてくるので、わけのわからないまま扉を開けると