本来なら逆だろと思われるのだが、双子の兄さんたちは挑発させる物言いで、人をイラつかせるスペシャリストなので交渉などの場面でまったく役に立たない
妥当な考えである
「兄さんたち、大丈夫?最近寝てる?」
「寝てる、寝てる。気づいたら爆睡してることもあるから、中々終わらないんだよ」
「二人で代わりばんこに寝ようとしたんだけど、二人とも体内時計まで同じだから、同じ時間帯に眠くなちゃって、まったくの無意味」
そう言いながらも、表情がどことなく楽しそうだ
嬉しくないはずがない
これでやっと兄さんたちの復讐は終わりを迎えようとしている
自分たちを見限った奴らをぎゃふんと言わせたい、という復讐は
「・・・ねぇ、兄さん。今まで大変だった?」
兄さんたちがこの三年間、どのような苦労をしてきたのかはわたしは知らない
でもこんなに晴れやかな笑顔を見せているのだから、きっとその苦労は報われたのだろう
「確かに大変だったね。でも」
「これからももっと大変なことになる。今までにと比べ物にならないくらい忙しくなるだろう」
「だけど、どうしてだろうね。忙しいのは好きじゃないのに」
「なんだかとっても楽しみなんだ」
その時、わたしの見間違いだと思うけれど、兄さんたちの瞳から一筋の光が流れ落ちたように見えた

