それは当たり前のことではないのかと首を傾げていると、輝はそんなわたしの反応が可笑しいのかははと笑う




「確かに美咲にとっては当たり前のことだった。でも俺はそうではなかったんだ。自分が間違っていると気づいていても、その間違いを認めることが中々出来なかったんだ」




輝の間違いいったい何だったのか、きっとわたしが知っていいものではない




それでも俯きながらも話し続ける輝の言葉にわたしは耳を傾ける




「ずっとそれを認めないまま、間違えを突き通しているうちに、最終的には大失敗を痛感した後に自分は間違えていたって気づいたときにはもう手遅れだった。もしあの時、間違えたと気づけたときに自分の間違いを認めていればこんな結果にはならなかったのかなって後悔しても遅かったんだ。


本当に酷い話で、一度間違えると、そのあとのことも全て間違いだらけで、俺は結局何がしたかったんだろうって打ちひしがれた。



俺は一度、自分自身に本気で絶望したんだ。もうどうしようもないぐらい」




拳をぎゅっと握りしめる輝を見ていると、胸が痛くなる




それでもわたしは彼の話を遮ることは出来ない




黙って、話を聞くことしかできないのだ





「それでも俺が最後まで自分を保っていられたのは、ずっと憎くて、大嫌いだったはずの設楽のおかげだった」




思わぬところで設楽の名前が出たので、驚いていると、さっきまで俯いていた輝が急に顔を上げ、すっきりしたような晴れやかな笑顔を見せていた