輝に連れてこられたのはあの時と同じ中庭
時間帯もちょうどさっき授業開始のチャイムが鳴ったので、周りには誰もいない
いったい何を言われるんだろうか・・・?
まったく何にも見当がつかないわたしはドキドキしながら輝が口を開くのを待つ
すると、いきなり目の前にいた輝が頭を下げた
わたしは吃驚して、今すぐやめてほしいという一心で輝に近づいたが
「ごめん」
その言葉で足を止める
「美咲には、本当に酷いことした。だから、許してもらえないと思うけど、本当にごめん」
頭を下げているせいで輝の表情は見えないが、きっと悲しい表情をしている
どうして謝るの?
わたしのほうがもっと酷いことしたじゃない
わたしのほうこそ、ごめん
色んな言葉が脳内に浮かんできて、あと少しのところで発せられるその言葉をわたしは口を閉ざし、飲み込んだ

