夏兄さんが帰ってきた数日後、事態は急変した




なんと花菱の社長である父さんが解雇になり、花菱の実権は夏兄さん、春兄さん、秋兄さんの手に渡り、実質的に3人同時に社長に就任した




って、なんだそりゃ




もうわけがわからなくなり、今の花菱の屋敷に戻ってみると、屋敷に入った瞬間、父さんが母さんに胸倉を掴まれているという衝撃の場面に出くわしてしまった




胸倉を掴まれているということは怒られているはずなんだけど、父さんは何故かにこにことしていて、わたしの姿を見るなり、大きく手を振り『美咲~~!!!』と叫んだ




母さんもわたしの存在に気付き、仕方なく胸倉を放すと、父さんが一目散にわたしの元へ駆け寄り、抱きつき、そしてそのまま頬ずりされた





「会いたかったよぉぉ!!すっごく会いたかった!!美咲~~!!」




もう何がなんだかまったくわからなくなったわたしは呆然と立ち尽くしたまま、されるがままだった





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そして夏兄さんたちが社長に就任した途端、傾きつつある花菱がとんでもない速さで元の経営状態に戻りつつあった




いったい何をしたのかと兄さんたちに聞くと、複合企業だった花菱はあまりにも大きくなりすぎたために全ての分野を抱えきれずに自爆していたが、それをIT関係の分野一本だけに絞ったという、単純そうだけどきっとわたしが思ってるなんかよりずっと大変な作業を兄さんたちはやってのけた




どうしてもっと早く行動に移さなかったというと、それにはどうしても夏兄さんの力が必要だったからである