「おい」
「た、巧くん熱でもあるの?なんか気持ち悪いよ」
「はぁ?!」
珍しく人が素直に本音を吐いたというのに奴が『気持ち悪い』を何度も連呼させるのでとりあえず無傷だった左頬を一発殴っておいた
*
*
「そんで、いきなりどうしたのさぁ?」
気を取り直して新しい菓子袋に手を出した雪を他所にずっと胸の内に隠していたことを言葉にした
「・・・雪には悪いが、俺は自分が昔と変わっていないなんて一度も思ったことはなかった。明らかに俺はこの世界で生きていく中、非情な人間になってしまったんだよ」
その言葉に何も反応を示さない雪は返事の代わりにスナック菓子を食べる音を響かせる
一歩、また一歩とこの世界に入っていくうちに何かが壊れていく音が聞こえてはいた
だけど無視して歩き続けている内にそれは俺の中に僅かにあった『良心』が壊れていく音だと気づいたが、もう遅かった
気付いたとしてももう手遅れだった
何故なら俺の歩んできた道には既に大量の屍が転がっていたからだ

