目の前でいちゃいちゃしている二人を見て、呆気に取られていると、わたしはあることを思い出した
あれっ?おかしくない?
夏兄さんって確か、他に好きな人が出来たからその人と一緒に愛の逃避行をしていたんじゃないの?
なのになんでひばりさんとこんなに大胆といちゃいちゃしているの?
あれっ?
自分の頭の中の情報と今現実で起きていることがあまりにも噛み合わない
そんなわたしとは裏腹に目の前の二人から甘い雰囲気が漂ってくる
今にキスを迫ってくるひばりさんを宥めながら、夏兄さんはゆっくり起き上った
「久しぶりだね、美咲。大きくなったね」
ぽんっとわたしの頭の上に手を置き、なでなでしてくるその手はやっぱり誰のものでもない夏兄さんのもので、さっき引っ込んだはずの涙がまた出そうになった
「いつぶりかなー?確か日本を離れたのは俺が18の時だから、4年ぐらい前か」
「あ、あの兄さん?」
「ん?」
あまりにも何事もなかったように振る舞う夏兄さんにわたしは聞いてみることにした

