なんで?なんで、ここにいるの?
胸がドキドキする
早足で近づくと、あちらもわたしの存在に気付いたのか、振り向いたその顔はとってもよく知るその人の顔だった
「美咲!」
笑顔でわたしの名前を呼ぶその人は、とっても懐かしい、とっても大好きな
「夏兄さ・・・「夏さまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
花菱家長男、夏兄さんとの感動の再会は突然現れた人影に夏兄さんが押し倒されるという形で遮られた
というかその人影は声からすると、たぶんあの人
「夏様!夏様!やっぱり帰ってきてらしたのですね?つい先ほどからわたくしの夏様センサーが反応していたので、もしや!と思って来てみたのですが思っていた通りでした。ひばりは、ひばりは夏様にお会いしとうございました」
翔くんの姉で、夏兄さんの婚約者のひばりさんが兄さんに抱き付き、こんな道中で愛の告白を堂々としている
いつもお淑やかなひばりさんのこんな姿を見たことなかったわたしは吃驚しすぎて、さっきの再会で思わず出そうだった涙が引っ込んでしまった
夏兄さんも特に困っている様子もなく、地面に寝っ転がりながらも、よしよーしと子供をあやすようにひばりさんの頭を撫でていた

