あんな大事なことを忘れていたなんて、なんたる酷いやつなんだろうか、わたし・・・
でも『また』?
翔くんと輝に接点なんて・・・あったけ?
「輝くんはね、社長であるお父さんの子供が全員女だったこともあるけど、お爺様に結城の跡取りとして孫の中でも特に可愛がられてて昔は羨ましかったけど、歳を重ねるにつれ可哀そうな子だなって思うようになってきたんだ」
「・・・可哀そうな、子?」
「昔はまだ設楽の社長が若かったこともあって、お爺様も余裕があったんだけど、徐々に差を広げられて焦ってたのかな、輝くんと設楽翔のことを比べるようになった。『設楽の倅に出来てお前に出来ないわけがない』とか『あいつにだけは負けるな』とか、幼いころから相当なプレッシャーをかけられてたの。その時わたしはね、輝くんには悪いけど、女に生まれてよかったなぁって思ってしまうほど、とってもそれが怖かった」
確かにこの世界で、女として生まれてきたわたしたちは跡取りとかそういう話とはまったく無関係で、幼いころから甘やかされていた
でも今の美礼さんの話や、翔くん、兄さんたちを見ていると、この世界で生まれた男の人はみんな何かしら背負って生きているのがわかる
だから、本当に酷い話だけど、わたしも女として生まれたことに感謝している
もしわたしが男だったら、きっとそんなプレッシャーの中では生きてはいけない
「だから、あまりにも出来が良すぎる設楽翔を輝くんが敵視するのは自然のことだった」
「・・・っか、翔くんはそんな出来がいいとかじゃなくて、そのたくさん努力してきて・・・」
こんな時でも翔くんを擁護したくなるわたしは、やっぱりこの人たちにとって不快な存在なのかもしれない

