必死に泣かないように目を擦るが、どうしよう止まりそうにない
止まれ涙!!
翔くんに気付かれないように徐々に顔を俯かせようしたとき、急にぎゅっと強く抱きしめられた
「ありがとう、美咲。でも大丈夫、そんなことで自分を責めなくていいんだ」
耳元でそんなことを優しく囁かれたら、必死に堪えていた涙がまた出てきてしまう
「駄目だよ、翔くん。そんなこと言っちゃ・・・わたし、本当に酷いこと思ったんだから、責めてくれないと、怒ってくれないと・・・」
「実際にあの言葉はそんな風に思わせてしまう口振りだったし、美咲が思ってしまっても仕方がないことだ。それに美咲がそう思ってしまうほど、俺はあの人の背中を必死に追いかけてきていたってことになる」
「・・・翔くん?」
上を見上げると、今日、社長室で見たときと同じような穏やかな翔くんの表情
「俺はね、あの言葉を聞いてあの時、絶望感はなくて、逆にほっとしてしまったんだ」
「・・・ホッと?」
「安心してしまったんだ。よかった、この人は最初から俺に期待なんてしてはいないんだって」

