受け取ったグラスの水を一口、口に含むと心地よい冷たさが喉を潤す
不意に翔くんの手が頬に触れたので上を向くと、少しだけ悲しそうな表情をする翔くんの顔が目の前にある
「・・・泣き顔、あんまり好きじゃないんだよ。俺、また何かした?」
「!ち、違うよ!翔くん!!むしろわたしがゲッホゴホゲホ!」
いきなり叫んだせいで水が変なところに入りむせてしまった
うわぁ~・・・またやっちゃった・・・
また勝手に突っ走て翔くんを悲しませてしまった・・・
どうにかして咳きこむのを抑え、翔くんと向き合った
間近に翔くんの顔がありドキドキするが、今はそんな場合じゃない
「その、さっき泣いちゃったのは翔くんの姿を見て安心しちゃって・・・それでね、わたし翔くんに謝りたいことがあるの!」
「謝りたい・・・こと?」
「その、わたしね、巧叔父さんが翔くんに『設楽を継ぐことを命じてない』って言われた時、その、酷いって言ったでしょう?」
「・・・あぁ」
「あれはねたった一言で翔くんの今までが全部無駄みたいに、否定されたような感じがしたの。でもね、ある人に言われたのそれはわたしが決めることじゃないって、だからわたし、自分が酷いやつだって・・・、だって巧叔父さんは実際にそんなこと一言も言ってないのに、なのにわたしが勝手に翔くんを・・・」
自分が言ってることにまた泣き出しそうになる
駄目だ、泣いちゃ駄目
泣いたらまた翔くんを困らせてしまう、悲しませてしまう

