突然謝りだしたので、少し困惑していた翔くんだったが、何も言わずわたしが泣き止むまで頭を優しく撫でていてくれた
いつの日かひばりさんが言っていた
わたしは翔くんにとって熊のぬいぐるみだと
あの時は意味がまったくといっていいほどわからなかったけど、今なら少しだけわかる気がする
幼いころにお気に入りのぬいぐるみをぎゅーっとすると、不思議と穏やかな気持ちになった
たぶんひばりさんが言いたかったのはそういうこと
わたしが翔くんの熊のぬいぐるみと同じように、翔くんもわたしにとっては熊のぬいぐるみ
翔くんと一緒にいると気持ちが穏やかになる
わたしは翔くんがいないとダメなんだ
「落ち着いたか?」
水の入ったグラスを手渡しながら、翔くんは顔を覗き込んでくる
だいぶ長い間泣いていたらしく、抱きついていた翔くんのシャツが涙で濡れていて、申し訳ない気分になった

