父親だからって、社長だからってそんなこといいわけがない
「今まで、翔くんがどんな思いで・・・」
「部外者は黙っていなさい」
ぴしゃりと反撃された言葉に思わず喉を詰まらせるが、だけどここは黙っていられない
言い返そうと身を乗り出したが、思わぬ人物がそれを遮った
「翔、くん・・・?」
「・・・、ありがとう、美咲」
わたしを庇うように前に出た翔くんは吃驚するぐらい穏やかな顔だった
・・・なんで?なんでそんな顔してるの?
「すいません、少しばかり取り乱してしまいました。でも彼女は既に俺の嫁として設楽に嫁いできたので、部外者という言葉は撤回してもらっても構いませんか?」
「・・・そうか。ならさっきの言葉は撤回しよう。だが、翔。お前に向けたあの言葉、忘れるんじゃないぞ」
「承知しております。それでは、色々やることが残っていますので、ここで。あまり無理せずにお体はちゃんと休ませてください」
そう言って、軽く会釈をし、翔くんは社長室から出ていった

