しかもこんな時に・・・
「か、翔くんは?翔くんはどうしてるの?」
仲が悪いとはいえ親子なのだから、きっと翔くんも心配して・・・
「先ほどお伝えしましたが、特にいつもと変わりなく。今はお部屋にいらっしゃると思いますが、直に出てくるでしょう」
「わ、わたし、様子を見てきます」
そう言って、わたしはたくさんの使用人たちの波に割って入って行った
いつもと変わらない?
そんなわけない
翔くんのことだ、内心絶対に動揺して、それを悟られまいと部屋で自分を冷静で保とうと、精神統一しているはずだ
「翔くん!!翔くん」
翔くんの寝室の扉の前に着くなり、ドンドンと扉を叩き、翔くんの名前を呼ぶ
どうしよう、もしあまりのショックで塞ぎこんでいたら・・・と心配したが、扉は呆気なく開かれた
「よかった、翔く・・・」
ホッとしたのもつかの間、そこにはいつもと変わらない様子の、だけど明らかに少し変な翔くんがいた

