あの時は本当に、ちらっと見ただけでただの見間違いだと思って特に気にしなかったけど
でももしかしたら本当はずっとわたしたちの側にいてずーっと会話を聞いてたのかも知れないと・・・そう思ってしまう
もちろんそんなただの食事会で翔くんがうっかり会社のことを話してしまうとは思わないけど、でももしものこともあるし・・・
「驚いた。いつもぼーっとしてるから何も考えてないと思ってたけど、案外鋭い洞察力だな」
「ぼ、ぼーっとしてないし!!」
何かがおかしいのか急にクスクスと笑いだす輝に何故か少しだけ苛立ってしまう
こっちは真剣に聞いてるって言うのに・・・
「うん、でも間違ってはいないよ。ほぼ正解だ」
「・・・・・・」
おかしいな、たぶん本当のことなんだろうと言ってみたのに、いざそれが真実だと告げられると胸が苦しいぐらいに痛い
しかもまさかそれを輝の口から言われるとは思わなかった
「な、なんで・・・?」
「ん?」
「なんでそんなことしようとするの・・・?」

