幼なじみ結婚





わたしをしっかりと見据える輝の表情はいつもと変わらないけれど、なんだかまったく知らない人に思えてくる




「まだ、よくわからないし・・・確証はないんだけど・・・」



重い重い口をなんとか開き、たどたどしく言葉を紡いだ




「ゆ、結城がね・・・も、もしかしたら設楽をつ、潰そうと思ってるんじゃないかなって・・・?」




ついに言ってしまった




本当にただわたしが思ってるだけのただの想像なんだけど、なんでだろう、さっきの兄さんたちと美礼さんの話を繋げた時にふとこのことが思い浮かんできた




美礼さん言ってた、お爺さんのお願いで駄目元で設楽と婚約を結ぶように言われたって




それってもしかして敵情視察・・・じゃないかな・・・って今になってはそう思ってくる




だって婚約を断られたとしたら普通一回会うだけで十分なのに、この前聞いた様子じゃ何度も一緒に食事会をしてたって言ってた



いったい何のために・・・って思ったけど、あの日あの時に、見間違いだと思っていた姿を思い出しピンっときた




あの日、わたしがホテルで見かけたのは・・・今、目の前にいる輝の姿だった