「で、何?」
大声で呼び止めたのだから、きっとわたしに言いたいことがあるんだろう
「うん、あのねぇー『結城』にはくれぐれも気を付けてね」
「・・・えっ、結城・・・って?」
似たような言葉を最近どこかで聞いたような・・・
・・・そうだ、美礼さんが言ってた
『結城には気を付けて』
最近妙にみんな『結城』のことを気にしてる・・・
そもそも美礼さんは結城家の人間なのに、わたしに気を付けてって忠告するのは変だ
それに今まで兄さんたちの口から結城の名前なんて一度も聞いたこと・・・
そこでわたしはハッと気づいた
「まさか・・・花菱を買収したのって・・・結城、なの?」
自信なさげに、でも確かに『結城』という名を呟くと、兄さんたちは困ったように渋々頷いた
ちょっと待って、ちょっと待って
じゃあ美礼さんがわたしに気を付けろって言ったのは、このことを既に知っていたから?

