花菱の屋敷に着くと、そこにはたくさんの人が門の前に群がっていた
たぶん殆どの人が報道関係者で今日のニュースのことで話を聞きに来たんだ・・・
みんな、大丈夫かな
わたしはその場から離れ、家族とごく一部の人間しか知らないもう一つの門から屋敷に入ることにした
思った通り、こちらには誰もいない
周りに人っ子一人いないことを確認し、敷地内へと入った
屋敷の中に入ると、そこは限りなく静寂で人の気配がまったくしない
いつもこの時間だったら数少ない使用人たちが慌ただしく動き回っている時間なのに物音ひとつ聞こえない
「に、兄さん・・・?」
呼んでも返事はなかった
いつもなら呼んでもないときでも来るのに
不安が徐々に積もっていく
「お母さん?」
お母さんの寝室の前でノックをするが、こっちも返事がない

