「でも携帯忘れたのは本当!ほら!!」



手に持っていたシンプルなカバーケースに収められた携帯を証拠のように見せられる



それはたぶん、本当なんだと思う・・・



けどまだ不安は隠せない



そりゃあキャラが全然違うっていっても外見が変わるわけじゃない、サバサバした性格だけど普通に綺麗だし、それになんかすっごい強気そうだし・・・



「あ、あの・・・もしかしてか、翔くんのことでお話が・・・?」



ビクビクしながらもそう聞くと、美礼さんはあっさりと




「ううん、全然違う」



否定した




「ていうか、わたし、設楽翔みたいな見るからに秀才なイケメンぜんっぜん好みじゃないから」



そんでもってバッサリ



「えっ・・・でも何度も婚約の話を・・・」



「あー、あれねぇー、実はわたしも父さんも本気で設楽との繋がりなんて持とうなんて思ってなかったし。内心断られてラッキーみたいな?」



質問すればするほどますますわからなくなる



困惑するわたしを置いてけぼりにし、美礼さんは更に話を進める




「まぁ、一応会長である?お爺さんのお願いだし、聞かないわけにはいかないってことで駄目元で渋々婚約の話を持ち掛けてみたってわけ。結局断られたけどね」