もう嫌だ・・・
わたしはその場に座り込んで、蹲ってしまった
昔からそう、わたしはあの男に振り回されっぱなしだった
幼いころから翔くんはわたしと結ばれる運命の相手だとずっと信じ込んでいた
だからどんなに冷たくされてもいつかは絶対にわたしのことを見てくれると信じて、わたしは毎日のように翔くんの後ろをついていった
だけど、それは夢であったと2年前に気付かされた
わたしは見てしまったのだ、自分の運命の相手だと信じきっていた翔くんが他の女の人とキスをしていたところを
たかがキス、見間違いだったかもしれない
でもその時、まだ14歳だったわたしはそのたった一回だけのキスで全てが壊された気がした
わたしの思い、10年間の大好きだと思ったこの気持ちを一瞬にして粉々にした。
今もそうだ、たった一回、触れただけのキスでこんなに動揺している
だから、わたしはこれ以上自分を傷つけさせないためにあいつを見ることをやめた
毎日通っていたこの屋敷も行くのをやめて、翔くん関係のものを全て押し入れの奥の奥へとしまった
なのに・・・なのに・・・
「結婚とか・・・ありえないよぉぉぉ・・・」
幼いころの夢が、今最悪な悪夢となって現実になってしまった
わたしはこのままで大丈夫なのか…?