そんないつものようにウジウジとしていると、いきなり頭をがしっと掴まれた
「君、本当にどうしようもないくらいダメな男だね、この前あれだけ痛めつけたのにまだ足りないの?」
「いや・・・あれでもう十分です」
あの日につけられた額の傷が今になっても治らない、これ以上傷をつけられたらさすがに困る
はぁっ・・・
「何?ため息!?もう本当にめんどくさい、すっごいめんどくさいよ、君!!」
聞こえないように擦れるぐらいのため息ついたのに地獄耳め
ていうか、めんどくさいって自分でも思っていたことを他の人にしかもこの人に言われるとすっごいショック
「もうめんどくさいなら構わないで・・・」
「・・・勝手に落ちこむのはいいけど、もっと美咲のこと見てあげないと」
「えっ・・・」
顔を上げると同時に背中にあった重みがすっと立ち上がった
「ちゃんと見てあげなきゃ気づけるものにも気づかないよ」
手を振りながらそう言うと、春は廊下の向こう側に去って行った
見なきゃ気づかないもの・・・?

