すると翔くんはそのキスのお返しなのか、わたしの左瞼に優しくキスをした。
ますます胸がきゅーんとなるわたしは負けじと今度は右頬にキスをする。
また翔くんはお返しとして左頬にキスをしてくれた。
何かおかしくなってくすくすと笑っていると、翔くんの手が頬に触れてきた。
顔を上げると、柔らかく微笑む翔くん。
そして
「好きだよ、美咲。ずっと前から、ずっと好きだったよ」
優しく唇が触れ合った。
ファーストキスはとっくのとうに何も感動がないまま終わってしまったが、そんなの今思えばどうでもよくなった。
これでわたしの翔くんへの意地っ張りが終わって、翔くんのわたしへの意地っ張りが終わった。
随分と遠回りしたけど、やっとたどり着いた。
やっと二人で進める道にたどり着いたんだ。
今この瞬間が、幸せで幸せで、幸せで、本当にずっと続けばいいと思った。
翔くん、翔くんはわたしへのすりこみに罪悪感を感じてるって言ってたけど、わたし全然気にしないよ
だって
やっぱりすりこみでもなんでもわたしは翔くんが大好きなんだから
どう悩んでも、結局はこの答えにぶつかる。
これがわたしにとっては絶対的な答えなのだ。
『花菱美咲は設楽翔をどうしようもないくらいに好きすぎている』