本当にただ触れただけだった
何が起こったのか瞬時に理解できなかったわたしは思考が一時停止になったが、翔くんの満足そうな笑みを見た瞬間、わたしの右手が動いた
パァン
鈍い音が部屋に響いた
「・・・最低・・・」
頬を叩かれた翔くんは何事もなかったように平然と桂さんに医者を手配させるようにと命じた
こんなやつ、こんなやつ、こんなやつ!!!
やっぱり嫌いになってよかった、こんなやつ好きでいるほうが可笑しい
心の底から憎しみが生まれ、わたしは翔くんを睨む
「いつまでも昔のわたしだと思ったら、大きな間違いよ」
そう言って、わたしは逃げるように部屋から出た
最低、最低、最低!!!
あんな奴、嫌い嫌い!!
花菱の屋敷より一回りも二周りも大きな廊下をずんずんと歩きながら、わたしはさっきのことを思い出していた

