「あっ、待って…」




すると、双子はくるっと振り向いた。




いつものあの腹立たしい笑顔を向けて





「翔くん、もしかして今、感謝の言葉を僕たちに言おうとしていないかい?」




「そんな何の価値もない君の言葉なんか僕たちはいらないよ。クシャクシャにしてゴミ箱にポイッだ」




折角、人が珍しく感謝をしているのに…一気に人をそれをなくさせる天才だな…この二人は…




「もし『あ』から言葉でその感謝を表すぐらいなら、僕たちはこう言ってほしいな」




「『どうか、美咲をここに連れてきてください』って、ただ一言そう言ってくれたほうがそのほうが僕たちは嬉しいな」





にこにことしながら思いをよらないことを言う双子に思わず笑みがこぼれた。




本当にこの人たちは、やりたい放題だな。




そして同時にまた性懲りもなく不安になった。




自分勝手なわがままのせいであんなにたくさん酷いことをしたんだ、果たして美咲はまだ俺のことを好きでいてくれてるのであろうか?




もし本当に、本当に今回こそ嫌われていたら、どうしよう。




・・・・




そんなこと、今考えていても馬鹿らしい。




嫌われていたら嫌われていたで、それでいい。




元々、彼女が本当に自分を好きでいたかなんてわからない。なんたって俺のすりこみなんだから。




だから、今度は好きになってもらうんだ。




本当の泣き虫で弱虫で、どうしようもない俺を





大きく深呼吸をし、俺はゆっくりと口を開いた。