「かっこ悪いね、とっても。誰よりも」




その言葉で涙がさらに溢れ出てきた。




なれなかったんだ、なれるはずがなかった。




どんなに偽り続けても、結局それは嘘で、嘘はやっぱりずっと続くはずもなかった。




どんなに頑張っても俺は物語の王子様のようにはなれなかったんだ。




嘘が嘘とばれてしまい、美咲が離れていくのが怖かった。




だから、自分が傷つくのを恐れた俺は一番最低な方法を選んだ。




美咲を傷つける、という最低な方法で




それでも美咲を未練がましく縛り付ける自分はもうどうしようもなく救いようがない人間なのだ。








「結局、君は弱虫で泣き虫のまんまだ。そのうえ、嘘つきで…、でも、そんなかっこ悪い君だからこそ僕たちは君を皮肉にも嫌いになりきれないんだよ」




双子は手を俺の頭の上におき、まるで子供をあやすように撫でた。




「かっこ悪くてもいいんだよ、翔くん。何度落ち込んだって、何度挫けたって、何度泣いたって、いいんだよ。君はその分、誰よりも努力をしてきたんだから」




「君は確かにかっこ悪い、かっこ悪いけど、かっこ悪いやつほど本当は誰よりもかっこいい人なんだよ」