暫く二人でこそこそしていた双子は何か決着がついたのか、よしっという掛け声とともにこっちを振り向いた。
「仕方ない、阿呆な翔くんの幼なじみの素敵なお兄さんとして僕たちがわかりやすーく説明してあげるでござんす」
どこからか取り出してきた紙とぺんを床に置き、秋が何かを描きはじめた。
「とりあえず、物事を説明するには事のはじめを追うことが大切なので、16年ほど前に遡るよー」
「そんなにですか?」
「しかも、イラスト付きで!!」
目の前に差し出された紙には一人の女の子と棒人間が描かれてあり、女の子のほうには『美咲』で棒人間のほうには『翔』と記されていた。
「悪意がある」
「そんなのないない。まぁ悪意はないけど他意はあるかもね」
「とりあえず、話進めるよー」
ペンを器用にクルクルと回していた春は、その紙の上に何かを書きはじめた。
「とりあえず16年前の冬、僕たちの可愛い可愛い妹、『美咲』が花菱家の長女として生まれてきました。ちなみに名前の由来はたとえどんな状況であろうと美しく咲き誇る野の花のような芯の強い子に育ってほしいということで母さんがつけました」
いらない情報が多すぎる気がする。
まさかこの調子でこの人たちの思い出を延々と聞かされるのではないだろうか?
「美咲は本当に可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて、可愛くて、本当目に入れても痛くない可愛さです。あの可愛さは犯罪級です、たとえ世界が滅びても美咲の可愛さは不滅です」
話ずれてる、普通に脱線してる。
まぁ、可愛いってことは認めるが

