「なら…どうして俺は美咲を遠ざけようとしてたんだ…?」
たとえ後悔で押しつぶされそうになっても、美咲が泣くたびに確かに安堵感はあった。
じゃあ、なんで今回も2年前も俺はこんなことをしてるのだろう…?
「…君、本当に馬鹿?」
「まさか、春。さすがにここまで言ってやったのに、気づいてないわけ…」
双子は顔を見合わせた後、少し間をおいてから、気ごちない表情でこっちに顔を向け、両肩をガシッと掴まれた。
「本当に気づいてないの!?君、ねぇ!?」
「マジで気づいてないの!?ギャグなの!?ギャグでしょ!?」
恐ろしい勢いでそう迫ってくる双子に俺は首を傾げた。
「やだ、この子!!本当に気づいてないわ!!秋、怖い!!僕、この子怖い!!」
「もう鈍感通り越して、阿呆だよ。昔からどんくさいとは思っていたけど、ここまでとは…」
二人でこそこそと話してるようだが、生憎だが丸聞こえだ。
しかもチラチラとこちらを窺うようにして話す姿が余計に鬱陶しい。
気づいてないってどういうことだ?
まるで誰にもわかるような問題を俺、一人だけ解けないような気分になった。

