「それはね、人は自分が綺麗な心のままで人を好きになりたいからなんだよ」
「でも、そんなのは無理だってわかってるから、胸が痛くなるんだ」
もっともらしいことを言っているが、この人たちにいったい何がわかるんだと思う。
人を好きになったことなんてないくせに。
「まぁ、実際よくわからないけどね」
ほら、やっぱり。
「でも、そうじゃなかったらこの世に成就する想いなんて一つもないと思うんだ。強欲だからこそ必死に掴もうとする、誰かが傷つこうと知ったこっちゃないって」
「素晴らしいじゃないか、人を傷つけ、自分の傷つけて掴み取る恋。…だから、たくさん傷ついた以上にその恋に幸福感を感じるんだよ、僕たちは」
人を傷つけて、自分を傷つけてか…
美咲を自分に縛り続けている自覚がある。
美咲の想いが自分の仕組んだものという自覚もある。
何度も美咲のためって言い聞かせていても、結局は全部自分のためだった。
たとえその想いが仕組んだものだとしても、縛り付けておきたかった。
本当に美咲のためと思っていのなら、この結婚だって断れるはずだったんだ。
結局、全部御見通しってわけか
でも、わからないことが一つある。

