笑いながら、自虐的にそう言うと、いつのまにか俺と同じようにしゃがみこんでいる双子が鼻で笑った。
「馬鹿だな、翔くん。そんなの当たり前じゃないか」
「人を好きになった人は誰もが最低なわがまま野郎だよ」
それはフォローのつもりなのか。
いや、たぶん違うな。
いつも通りの悪口として聞いておこう。
「よくさぁドラマとかで『あの人が幸せなら…』って勝手に身を引く人っているでしょう?でも、そんなやつ本当にこの世にいるとは思わないな」
「人は強欲で身勝手な生き物だ、特に『好き』って気持ちの前だとね」
「相手を振り向かせるならどんなことでもするし、多少相手が嫌がってもそれを押し通す。される側の意思なんてお構いなしだ」
やっぱりこれは悪口だ。
俺に対してだけじゃなく、全人類に対しての。
「どうして人が人を好きになるたびに苦しむのかわかるかい?今、まさに超胸痛の翔くん」
にひひと悪戯っこみたいな笑みでそう問いかけてくる。
そんなの知るわけないだろう、知ってたらこんなに苦しんでない。
睨みながらそう意思表示すると、双子はやっぱりと顔を合わせ、また笑った。

