「本当に?」
双子の片方の声が聞こえ、顔を上げる。
薄らと笑みを浮かべる双子に今は腹を立てる余裕なんてなかった。
「翔くん、君は本当に美咲が泣いていて何も思わなかったのかい?」
「だから、嫌だって…!!」
「そうだね、確かに目の前で泣かれると困るよね。でも、そんなことを聞いてるんじゃないんだ」
双子と視線が合う。
心臓の音がドクドクと聞こえる。
何、焦ってるんだ、俺は
泣いた顔なんて見たくない、見たくなんかなかった。
本当に嫌だったんだ。
「…翔くん、君、本当は…」
声が聞こえてくるたびに胸の鼓動が早くなる。
違う
違う
違う
俺はまるで双子がこれから何を言うのかわかってるかのように必死にそれを心の中で否定していた。
違うんだ、そんなんじゃない。
違う!!
「ホッとしてたんだよね?美咲が泣くたびに」

