だけど、今更テンパったぐらいで特に何もない。
「…あの、いい加減に放してもらえますか?」
いつまでも人の髪をものすごい力で掴んでいる双子にそう言うと、二人は面白くなさそうに手を放した。
やっと双子に解放された俺はとりあえず近くにあった椅子に座ることにした。
出血しているせいか、かなり頭が痛いし、何故だろうか少しクラクラする。
もしかしたらさっき頭を強く打たれすぎたせいかもしれない。
だが、双子はそんなこと気づいていないのか、またペラペラといつもの調子で話し始めた。
「正直、君にはがっかりだよ。まぁ、そんなに期待はしてなかったけど…、まさかまたあの時と同じような感じになるなんて…」
「本当だよ、これじゃあ僕たちが何のために美咲を君に託したのか」
目の前で血を流している相手に対してもこんなネチネチと悪口が言える双子は本当に性格が悪い。
まぁ、けど仕方ないか。
二人の言う通りだからな。
こんな風に言われても、俺に文句は言えない。言えるわけないんだ。
今でもやっぱり鮮明に浮かび上がる美咲の泣き顔。

