「さてと、翔くん」
「いったい僕たちがなんでここにいるのか、君ならわかってるよね?」
勿論、忘れたわけではない。
この二人がこの状況にここに来た理由はたった一つしかない。
「さっき、冬から連絡があってね、美咲が突然花菱の屋敷に帰ってきて、部屋に閉じこもったきり出てこないんだって」
「しかも、どうやら雨に降られたってぐらいに顔が濡れていたそうだよ」
こつこつと靴音が部屋中に響く、双子が確実に俺に近づいてくる。
「これってどういうことだろうね、翔くん」
「説明してもらえるかな?」
未だに笑顔の双子が怖い。
まぁ、仕方がないか。
きっと今、あの二人の腹の中はきっと怒りで煮えたぎっているわけだし、ここで言い訳する必要もない。
『もし美咲を泣かしたら、僕たちが君を殴り飛ばしに行くからね』
あの言葉の通り、俺はこの二人に殴られよう。
それで償えるわけではないが、俺はそれくらいしかもう出来ないから。

