緊縛した空気の中、いきなり場違いな二人の笑い声が聞こえてきた。




いや、ここは空耳でありたい。




が、そんなわけあるはずがなかった。




「ひっばりー、お久しぶり!!元気してたー?」




「夏兄さんがいなくなってしおらしくなったと思ったけど、弟殴れるほど元気だったなんて、驚きだよー」



いつのまにか部屋に入ってきていた双子は姉さんの周りでぐるぐるとおかしな踊りを始めた。




「ちょっと!いったいなんなんですか!!あなたたちは!!」



突然のことで驚いた姉さんは呆気にとられながら、二人に手を引かれ、いつのまにか部屋の外へと追い出されていた。




「いやぁー、ちょっとねぇ。ひばりの説教はご尤も、僕たちもそう思うよ」




「だけど、ここからは僕たちの時間だ。大人の男のスマートなお時間にひばりみたいな小姑めいた説教は不似合だ」




言いたいことをずげずげと言う双子に対し、姉さんは開いた口が塞がらず、わなわなと手を震わせていた。




「じゃあね、ひばり」




「またあとで」




そう言うと、双子は扉を閉め、急いで鍵をした。




「ちょっと!!開けてください!!春、秋!!」




外から姉さんがどんどんと扉を叩くが、双子はそれを無視し、笑顔で俺に近づいてきた。